VIRTUS [知的障害者☓スポーツ]

VIRTUSとはまだ馴染みのない言葉ですが、知的障害者のスポーツに関する言葉です。国際知的障害者スポーツ連盟(INAS)から2019年にVIRTUSへと名称が変わっています。今回は知的障害者におけるスポーツの現状をまとめてみようと思います。

知的障害者スポーツとパラリンピック

アトランタ大会が開催された1996年は、知的障害者スポーツの機運が世界的に盛り上がった時期でした。その10年前に国際知的障害者スポーツ連盟(VIRTUS、旧INAS)が設立され、4年前には知的障害者のための新しい国際大会が開かれています。

パラリンピックの実施競技拡大に期待が広がる中、2000年シドニー大会では陸上、水泳、卓球に加え、団体競技のバスケットボールも実施されました。ここで「事件」が起きます。男子バスケで優勝したスペインの12登録選手のうち、10選手が健常者だったことが内部告発で明るみになったのです。スペインは金メダルを剥奪され、それ以降の大会の全競技で知的障害クラスは当面、実施されなくなりました。

当時、障害を認定する国際的な統一基準がなかったことが要因とみなされました。INAS(現在はVIRTUS)は不正発覚後、知能指数(IQ)が75以下で精神科医の証明もあるなど、国際大会の選手資格を明確に定めました。国際パラリンピック委員会(IPC)は障害の科学的な証明を求め、判断力や動作などによる認定基準が確立された陸上、水泳、卓球が12年ロンドン大会で復活しました。

[引用]

知的障害者スポーツにおけるクラス分け

障害者スポーツにおいては参加条件となるクラス分けが非常に重要になります。知的障害だけでなく身体障害においてもクラス分けは重要で公平に競技を行うためには不可欠なものですが、特に知的障害においてはその判断基準が難しいのが現状です。

今の段階ではIQが75以下の知的障害、ダウン症、自閉症が対象となっていますが、パラリンピックのクラス分けの歴史を見ると最初は疾患ベースのクラス分け、その後に機能ベースに変わり、現在では競技毎でクラス分けを行うような仕組みに変わりつつあります。

今後はVIRTUSの関与するスポーツが増え、競技人口も増えていくにつれて基準の明確化がより必要になっていくと思われます。

About Intellectual impairment and classification

知的障害者の健康管理

何らかの知的な障害があると、一般の方のように自分で情報を仕入れて食事や運動を意識して健康管理をするのが難しく、周りで関わる人が運動をできる環境を整えるなどしなければ健康管理が難しい現状があります。

その中でスポーツという1つの軸ができると目標設定がしやすく、人それぞれの個性に合ったスポーツを選択できると本人も楽しく意欲的に運動を続けられる可能性もあります。日本でも世界でもまだ知的障害者のスポーツを行える環境は限られていると思いますが、今後の発展性はまだある分野だと思います。