障害者スポーツにおけるクラシフィケーションとは

障害者スポーツにおいて特徴的な仕組みとして「クラス分け=クラシフィケーション」があります。ひとくちに「障害」と言っても、腕や脚などの身体、または視覚や知的発達など、障害のある部位や種類はさまざまです。
また、同じ名前の障害でも、その程度は人それぞれ異なります。「クラス分け」は個々の障害が競技に及ぼす影響をできるだけ小さくし、平等に競い合うために必要な制度です。今回はそのクラシフィケーションについて学んでいただけたらと思います。

クラシフィケーションの目的とは?

大きな目的としては2つあります。

1)障害の確認をする。
2)公平に競い合うためのグループを作る。

1)障がいの確認をする。
各競技によって参加できる障害が違いますが、クラシフィケーションを行うにあたっては参加が認められている障害の種類か?参加が認められている障害の程度か?障害が永続的か?といったことを確認する必要があります。

2)公平に競い合うためのグループを作る。
「障害が軽い」という理由ではなく、同程度の障害のある選手同士で競い合うことができるようにグループを作る必要があります。同じグループの中に障害の程度が重い人と軽い人が入ってしまうと競技力の高さではなく、障害の程度によって勝敗が決まってしまう場合もあるのでグループの基準が重要になります。

クラシフィケーションはいつから始まったの?

1948年から障害の原因となった疾患名を基準にした「医学的クラス分け/Medical Classification」が取り入れられました。しかし、同じ疾患名だったとしても身体機能の程度が違う場合もあったので、その後1992年からは選手の残存している身体機能を基準にした「機能的クラス分け/Functional Classification」が取り入れられました。

さらに、2007年からは各競技特有の身体運動やスキルに対するパフォーマンス遂行程度を基準にした「競技特異的クラス分け/Sports Specific Classification」が実施されています。このような過程を経てより選手にとって公平にスポーツで競える環境が整いつつあります。

クラシフィケーションはどういった手順で行われるの?

原則として、クラスを持っていなければ大会に出場し、記録を公認してもらうことは出来ません。従って、出場前にクラス分けを受ける必要があります。クラス分けには以下の3つのプロセスがあります。

A)身体機能評価:問診や筋カ、関節可動域、バランスなどの各種検査を実施。参加資格の有無を判定する。

B)技術評価:大会前に競技試技を行い選手のパフォーマンスや競技スキルを評価。適切なグループ(参加クラス)を割り当てる。

C))競技観察:クラス分けを実施した大会の最初の出場種目を観察し、上記A)B)で判断した参加クラスが適切であるかを確認する。

クラシフィケーションは誰がするの?

クラシフィケーションを行うための必要な知識・技術を学び、資格を取得したものを「クラシファイヤー/Classifier」と呼んでいます。

クラシファイヤーには、国際大会でクラス分けを行う「国際クラシファイヤー」と、国内大会でクラス分けを行う「国内クラシファイヤー」の2種類があります。

実際のクラシフィケーションが行われる場面においては、一般的にクラシファイヤー2~3 名1組(1 パネル)で一人の選手のクラス分けを実施しています。

まとめ

障害者スポーツでは各競技ごとにクラシフィケーションが行われ公平にスポーツが行えるような仕組みが作られています。

[参考資料]