大学生のうちに注意しておくべき障害年金制度

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。障害年金を受け取るためには一定に満たすべき基準があるのですが、学生のときの不注意で受け取れない場合もあるので今回知ってもらえたらと思います。

目次

  1. 障害年金を受け取れなかった事例
  2. 障害年金を受け取れなかった理由
  3. 障害年金受給のための対策

障害年金を受け取れなかった事例

Aさん(21歳)は大学在籍中に会社内定が決まっており、来年からは社会人です。入社前の最後の休みの期間に友達で卒業旅行にでかけました。その旅行中に車で事故を起こし運悪く脊椎を損傷。懸命にリハビリしたものの、上半身に麻痺が残ってしまいました。

 事故によって障害の状態になり、生活も、仕事も制限されることになったAさんは、本来なら障害年金の受給対象になっていたはずです。ところが、保険料納付要件を満たしていなかったため、給付を受けることができなかったのです。

障害年金を受け取れなかった理由

障害年金をもらうためには、次のいずれかの保険料納付要件を満たす必要があります。

・初診日(※)がある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上、保険料を納付(または免除)していること
・初診日(※)が65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
 ※その障害の原因となった病気やケガではじめて医療機関を受診した日

Aさんが事故にあったのは、入社の1ヵ月前。障害年金をもらうには、Aさんが20歳になったときから本来の加入期間の3分の2以上、保険料を納付、または免除を受けているか、保険料をきちんと納めている必要がありました。

 しかし、Aさんは20歳になった時に年金の加入手続きをしておらず、大学卒業までの間保険料を滞納。保険料納付要件を満たしていなかったために、Aさんは障害年金を受け取ることができなくなってしまったのです。

障害年金受給のための対策

一般的な方法としては20歳になった時点からちゃんと保険料を支払うということですが、中には金銭的に苦しくて払うのが難しい人もいるでしょう。そんな時でも、アルバイトなどの前年所得が118万円以下なら市町村の国民年金担当窓口や年金事務所に申請して承認を受けると、保険料の納付を猶予してもらえます。これを学生納付特例といいます。

猶予を受けておけば、公的年金をもらうための受給資格期間としてカウントされるので、万一のことがあった場合は遺族年金や障害年金を受け取ることができます。学生で収入がなく、国民年金保険料を支払えない人は、学生納付特例という制度があることをぜひ覚えておいていただきたいものです。